02.06.21:49
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10.22.17:11
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10.19.22:31
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10.14.16:00
エアコンがないといられない暑い夜だった。
海沿いの道路を車で走っていた。 一緒にいたのは3人。 おしゃべりに夢中になり、 真夜中になっていった。 「そろそろ帰ろっか?」 引き返すことにした。 車をUターンさせようと、 避難帯に車を寄せた。 車のライトに、 荒れ果てた姿の家が照らされた。 「こういうとこって出そうじゃない?」 「言えてる言えてる」 誰からともなく車を降りた。 そのあたりは漁業の町で、 昔はかなり栄えていたふうの家だった。 ちょっとのぞいていこうということになった。 家の裏手に回ると、 勝手口のドアが壊れて無くなっていた。 そこから入ることになった。 じゃんけんで順番を決めて、 入っていった。 一歩入った瞬間、 寒気で体が震えた。 まだ8月なのに。 車のライトのお陰で中の様子はよく見える。 中に入っていくと、 至る所が壊され、 落書きされていた。 一番奥の部屋の前まできた。 そこだけなぜかふすまが破れずに残っていた。 寒気が増した。 「もうやめようよ」 口をついて出てきた。 「ここまで来たんだから」 一人がふすまを開けた。 なぜかきれいな部屋だった。 一番奥にあるものを見て、 一歩後ずさった。 仏壇がある。 しかもきれいに掃除されているようで、 扉が開いていた。 「なんでここだけきれいンだろ?」 一人が部屋に入っていき、 仏壇の扉に手をかけた。 その瞬間、 周りが真っ暗になった。 車のライトが消えたのだ。 「$#&()&’’#$+*&$$?”!」 声にならない叫びを上げながら、 いろんなところにぶつかってひっくり返して、 何とか外に飛び出した。 車に近寄ろうとして、 みんな動きが止まった。 運転席に誰かいる。 車のキーはポケットにある。 カギをかけた記憶もある。 「誰?」 一人が叫んだ。 その瞬間、 人影が消えた。 緊張しながら車に近づく。 中には誰もいない。 カギを開け、 エンジンをかける。 ルームランプをつけると、 後ろの一人が叫んだ。 「ちょっとあんた、何もってんの?」 仏壇の部屋に入った子の手には、 位牌が握られていた。 「うそ?何これ?」 あわてて窓を開けて投げ捨てた。 「戻してきた方がいいんじゃない?」 「怖くてムリ!」 結局そのまま戻ることになった。 寒気がまだ続いていた。 みんなを送って帰ると、 位牌を握っていた子から電話があった。 「私、位牌捨てたよね?」 「うん」 「絶対捨てたよね?」 「どうして?」 「あるの!」 「はぁ?」 「玄関に位牌があるの!」 ……… 電話が切れた。 それ以来、 彼女に連絡が取れない。 |