夜中に誰かがついてくる。
怖くて振り向けないが、
間違いなく2人の足音が響いている。
線路下のトンネルで、
靴音がやけに響いた。
トンネルを抜けると、
足音が増えている。
思わず走り出した。
声が出ない。
かまわず走り続ける。
足音達はどんどん迫ってくる。
自宅の門をくぐって、
玄関を開けようとしたとき、
耳元で、
「つぅかぁまぁえぇたぁ~」
と声がした、
意識が遠のいた…。
母親に揺り起こされた。
私は玄関先で倒れていたらしい。
私の玄関にぶつかる音で起きて出てきたそうだ。
出てきたときは、
誰もいなかったそうだ。
「でもね…」
母親が言った。
「あなた、あお向けに倒れてたのよ。」
自分も扉に飛びついたのだから、
あお向けに倒れるのは不思議だった。
起き上がった私を見て、
母親が驚いた。
「あんた何、その背中」
ワンピースの上から下まで、
10個もの手形がついていた。
それも血で…。
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