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すべては私の頭の中で…。

フィクションともノンフィクションとも言えない不思議な話です。
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02.07.00:57

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09.30.21:43

放火犯

うちには家の北側に門がある。
その門に入ると、
プロパンガスのボンベと、
自転車が4台置いてある。
そして、
ボンベに隠れるように、
灯油の入ったポリタンクが2本ある。
私の部屋はその真上にあり、
窓からいつでも人が来たのが見える。
先日、
夜中に物音がした。
何気なく窓の下を見ると、
人が立っていた。
その人は、
門を通って中に入り、
裏庭をうろうろしたあと、
灯油を見つけ、
ふたを開けて家の北と西の壁にまいた。
そのあと、
二本のガスボンベのホースを引きちぎり、
倒して家の横に置いた。
そして、
灯油をかけながら門の外へ出て行く。
不思議にも、声が出ない。
体も動かない。
門から数メートルほど離れたところで、
ジッポに火をつけ、
灯油の端に落とした。
梅雨の導火線を炎が這ってくる。
逃げないと危険だ。
と思いながら動けない。
道の男がこっちを見てニヤリと頷いた。
その瞬間、
階下で大爆発が起こり、
目の前がオレンジに染まった。


夢だった。
翌朝、
現場に行くと、
かすかに灯油のにおいがし、
灯油缶の灯油が減っていた。

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09.29.15:03

キノコ

先日、
友人とともに、
彼の行きつけのクラブに行った。
一見様お断りの、
会員制のクラブだった。
奥の方のボックスに通され、
女の子が2人やってきた。


それにしても、
店内の雰囲気が普通じゃなかった。
友人にそのことをいうと、
「大丈夫。今にわかる」
と返ってきた。
「アレ、つかいます?」
女の子が聞いてきた。
「もちろん」
と友達が返事した。

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出てきたのは、
灰皿の上に載った変なキノコ。
友人が素早くそれを細かく割いてゆく。
キノコが10数本に割かれた。
そのうちの1つに火をつける。
一筋の煙が立ち上る。
みんながそれを吸い込んでいく。
なんだか怖くなってきた。
「大丈夫。まだ禁止されてないやつだから」
と誘われた。
そのうちに、
店中に充満する煙を吸い込んだために、
自分も気持ちよくなっていた。
周りにはすでに全裸で走っている人間や、
酒の瓶で殴り合っている人たちがいた。
他のみんなもそれを見て笑っている。
酒もそこそこに、
友人を促して店を出た。

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あとで知ったことだが、
あのキノコは海外から買い付けた物で、
日本にはそこでしか手に入らないらしい。
しかも、料金後払いで、
みんなが判断力も鈍るため
「財布ごと頂きます」
といったら全員財布の中身をはたいて支払うそうである
ぼったくりにはちがいないが、
本人も同意してお金を払っているからしようがない。
しかしあの店はすぐ摘発されそうだなぁ。
もう行かないようにしようと心に誓った。

09.28.12:00

手を握ってもらいませんか?

山下さんは「見える人」である。
意識しなくても見えてしまうため、
町中でさほど人がいない通りでも、
人混みの中を歩いているような動きをする。
見えている者を避けているのだ。
彼女からすると、
普通の人と見える人の違いは、
透けているかどうかだそうだ。
普通の人は体が透けずに向こう側が見えないが、
この世の者でない人は、
ぼんやりと透けて見えるそうである。
友達は、彼女の体質を知っているためか、
変な動きをしても、
「またなの?」
といいながらついてきてくれるが、
知らない人は不思議がる。
そういうわけで、
彼女は彼氏がいない。
たまに男の人に誘われても、
1日一緒にいるだけで誘われなくなる。

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そんなある日、
友達が、
「よけずにぶつかっていったらどうなるの?」
とつぶやいた。
本当の人と区別がつくんだから、
別の世界の人とぶつかっていけば
普通に歩いているようになる。
友達も気づいてはいないが、
どんどんぶつかっている。
(これならできるかも)
と思いながら挑戦してみることにした。
通りをやや足早に、
ひとりぶつかった、。
すり抜けた。
(いける!)
確信した彼女は、
どんどん人にぶつかっていった。
100メートルほどの道路で、
20人ぐらいぶつかったろうか。
何事も起きていないことを確信した彼女は、
そのまま家に帰った。
向かってくる人たちとぶつかりながら…。

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その夜、彼女は後悔した。
ぶつかったすべての霊が、
憑いてきたのである。
その夜から、
彼女は無数の悲鳴や雄叫びを聞きながら眠ることとなった。
数が多すぎて、
1回では落としきれないで、
何度も霊媒師の元を訪れた。
霊媒師は、
「見えるということは、波長があったということだから、絶対ぶつかっちゃダメ!」
と言われた。
彼女はまた人混みを避ける動きをするようになった。